金融占星術、AIにやらせてみたら「計算は苦手、意味づけは得意」だった話

正直に言うと、金融占星術と聞いて最初に浮かんだのは「胡散臭い」だった。相場を星の動きで読むなんて、占い師の自分でも半信半疑だ。でも「今ここ占い」の整合という視点でこのジャンルを見直したら、意外と面白い発見があったので、実験ノートとして残しておく。

前提整理:金融占星術とは何か

金融占星術は、20世紀前半の伝説的トレーダーW.D.ギャンが体系化した手法が土台になっている。代表的なツールが「Square of Nine(九九の square)」で、数字を螺旋状に並べたチャート上で、価格と時間が幾何学的な関係や平方根を通じて対応すると考えるものだ。もうひとつが「Gann Angle」。45度線をはじめとする対角線が、時間と価格の均衡を示すとされている。

ギャンは惑星の周期的な動き、とくに火星と木星の位置を重視し、そこに市場の反復パターンを重ね合わせようとした。市場を人間の感情や期待の反映と捉え、惑星サイクルと経済活動の波を結びつける「コスモグラム」という発想も持っていたらしい。

ただし補足しておくと、この理論は第三者による検証がされておらず、因果関係の説明もない。ギャン自身は9割超の的中率を主張していたが、残した資産は現在価値でも100万ドル程度にとどまったという指摘もある。理論として面白いのと、実証されているのは別の話、というのを最初に押さえておきたい。

AIにやらせてみた

ここからが本題。Square of Nineの計算ロジックをAIに説明させてみると、螺旋の構造や「なぜ平方根なのか」という数理的な部分で、あっさり説明が浅くなったり、微妙に辻褄が合わない箇所が出てきた。具体的な角度と価格帯の対応を求めると、もっともらしい数字を出してくるものの、検算すると根拠が怪しい。ここは完全に「計算が苦手」なパターンだった。

一方で、「なぜギャンは火星と木星に注目したのか」「コスモグラムが市場心理をどう表すと考えられていたのか」という、意味づけ・解釈の部分を聞くと、急に筋が良くなる。惑星の象意と市場心理を結びつけるストーリーテリングは、AIが得意とする領域だとあらためて感じた。

これは以前、宿曜の生年月日計算をAIにやらせて痛い目にあった経験とまったく同じ構造だ。「正確な計算は専用ツールに任せて、AIには意味づけ・解釈をさせる」というワークフローが、占術ジャンルを問わず成立しそうだという確信が強まった。

「整合」に読み替えると

金融占星術はそもそも「未来の相場を当てる」ための技術として発展してきた。これは、今ここ占いが大事にしている「未来予測ではなく、現在地の整合」という哲学とは、方向性が逆だ。

でも、この矛盾こそ面白い。「相場のタイミングを当てる」ロジックを、「今の自分の状態や決断のタイミングを整えるための視点」として読み替えるとどうなるか。木星や土星のサイクルを、相場ではなく「経営判断や大きな決断がしっくりくるタイミング」の目安として使う、という発想は十分ありえる。予測の道具を、整合の道具に転用する実験ともいえる。

まとめ

今回わかったのは、金融占星術というジャンル自体の当たり外れよりも、「AIは複雑な計算に弱く、意味づけ・解釈には強い」という傾向が、占術ジャンルを問わず再現されるということだった。次回は、この「意思決定のタイミングを整える」という角度を、もう少し具体的なプロンプト設計に落とし込んでみたい。

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